下痢・便秘が続く原因と治療法

下痢・便秘が続く方へ

トイレ下痢や便秘は日常的に起こる症状ですが、重大な病気の初期症状の可能性もありますし、アレルギーや腸の形状自体によって起こっている場合もあります。また、便秘と下痢を繰り返す場合には、腸内細菌のバランスが乱れてしまい、さらに便秘や下痢が起こる悪循環にもつながっています。体質だとあきらめていたものが、専門医による的確な診断を受けて適切な治療を受けることで改善するケースはよくあります。
腸内細菌を含む腸内の環境が身体全体に大きな影響を与えることが最近、わかっていきています。健康な身体を長くキープするためにも、腸の状態を改善していきましょう。

下痢と便秘を繰り返す原因

腹痛さまざまな腸疾患の可能性がありますが、特に早期の治療が重要な大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎、膵臓がんなどの消化器疾患がないかを調べる必要があります。特に、嘔吐、便に血が混じる、黒っぽい便が出るといった症状もある場合には、できるだけ早く当院を受診してください。

過敏性腸症候群

下痢、便秘、便秘と下痢を繰り返すという3タイプの症状があります。ストレスなどによって、大腸をコントロールしている自律神経が乱れると、自律神経によってコントロールされている腸の蠕動運動も乱れます。過剰な蠕動運動は下痢を、鈍い蠕動運動は便秘を、交互に起こると便秘と下痢を繰り返します。なお、痙攣性便秘も自律神経の乱れにより下痢と便秘を繰り返します。

アレルギー

食物アレルギーによって下痢や便秘といった便通異常の症状が出る場合があります。じんましんが出るタイプであれば食べてすぐ症状が現れるためわかりやすいのですが、アレルギー症状の便通異常はかなり時間が経ってから症状が現れる遅延アレルギーであり、自覚されにくい特徴があります。遅延アレルギーは重い症状が出ることはほとんどありませんが、アレルゲンを特定してその食物を避けることで症状を出さずにすみます。

腸内細菌のバランスの乱れ

細菌の感染症治療で抗生物質を服用すると、腸内細菌のバランスも崩れてしまい、下痢や便秘が起こります。

ねじれ腸・落下腸

腸の形状に問題があって便秘や下痢を起こしているケースです。腸はねじれやすい器官です。ねじれが起きると便秘になり、解消すると下痢になり、それを繰り返している場合があります。特に、幼少期から便秘と下痢を繰り返している場合、また運動不足で必ず便秘になる場合には、ねじれ腸や落下腸が疑われます。

下痢と便秘が続く際の診断と治療

診断さまざまな疾患が原因となっている可能性があるため、原因を突き止めることが重要です。
他の症状、既往症、服用している薬、症状が起こる前に摂取した食べ物などを問診でうかがい、必要な検査を行っていきます。内視鏡検査などで粘膜の状態を直接確認することは特に重要です。

過敏性腸症候群の治療

タイプや症状に合わせて、腸内細菌叢(さいきんそう)を整える薬、腸管の動きを調整する薬、便の硬さを調整する薬、腸の過敏性を改善する薬などを用います。症状が出る前の予兆があったタイミングで服用する薬もあります。また、不安などを抑える薬が有効な場合もあります。また、こうした薬と並行して、自然なお通じを促す漢方薬を使うこともあります。生活習慣や食習慣の改善のアドバイスを行い、ストレスの解消などについてもご相談いただけます。

アレルギーの治療

アレルギーを起こすアレルゲンである食品を特定する検査を行います。アレルゲンの摂取を控えれば症状は起こらなくなっていきます。ただし、アレルゲン検査でわかるものは一握りですから、それ以外の食品がアレルゲンである場合には、食事の記録をとりながら時間をかけて絞り込んでいきます。

腸内細菌バランスの乱れ

乳酸菌を積極的にとり、腸内環境を整える食事を心がけます。

ねじれ腸・落下腸

適度な運動を習慣づけることが有効です。また、効果的なマッサージやストレッチの指導も行っています。